ADS-B SAWアンプキットv1.4

Rapberry piでADS-Bを受信しFlightradar24にフィードするようになってしばらく経ちました.日々蓄積されていくデータをみていると,受信できる範囲と航空機の数をもっと増やしてみたくなりました.そこで,アンテナの種類やアンプの有無で受信状況の比較をしてみることにしました.

アンテナは,①RTL-SDRのチューナーに付属してたアンテナ,②ダイヤモンドの95MHz-1100MHz帯ワイドバンドロッドアンテナSRH789,③Amazonで500円ほどで売られている1090MHz専用のアンテナ(折り曲がった状態で送られてきて残念でした)を使用しました.

アンプはComputer & RF Technologyで紹介されているADS-B SAW アンプキットを使用しました.

思っていたよりもコンパクトなキットで,ピンセットと竹串を使い,久々のチップ部品のはんだ付けに一苦労でした.

ちょっと気を抜いたときにチップLEDを一つ吹き飛ばしてしまいました.動作には影響のない部分なので仕方ないと諦めました.その他は何とかはんだ付けできたかな・・・と電源を入れてみると,まったく受信できず.大体ははんだ付けの失敗が原因なので,テスターを使いながら電源ラインや要所の電圧を確認していきます.最も小さい増幅用のICのハンダ不良で電源が供給されていない状態でした.何とか完成させて動作させてみると,受信電波の強度が-30dBFS程度から-10程度に改善していました.

Flightradar24では24時間ごとにAircraft seen,Max distance,Position repoted,Hits reportedの各データが記録していますので,アンテナ,アンプをそれぞれ組み合わせて,7日づつデータを集計し,性能を比較することにしました.5組でデータを収集したので5週間もかかりました!

下のグラフは,上段左:Uptime(データの提供時間),上段右:Aircraft seen(受信範囲に入った航空機の数),中段左:Max distance(電波を受信した航空機の最遠距離)中段右:Position repoted(航空機の位置情報を取得した数),下段左:Hits reported(航空機からの電波を受信した数)です.また,各棒グラフは,右からA:RTL-SDRチューナー付属アンテナ,B:SRH789(ロッドは1090MHzに最適な長さではなく最長にした状態),C:SRH789+アンプキット,D:1090MHz専用アンテナ,E:1090MHz専用アンテナ+アンプキットです.

統計解析,グラフの作成は,練習を兼ねてRstudioで行いました.

次の表は,各群の組み合わせでt検定を行ったときのp値です.

それぞれの群間でUptimeに統計的な有意差はありませんでした.
アンテナ単体同士で比較すると,SRH789,付属アンテナ,1090MHz用アンテナの順に受信できる範囲や航空機の数が統計的な有意差をもって多くなります.SRH789はロッドアンテナを最も伸ばした状態で使用したので,1090MHzに合わせて適切な長さに調整することで結果が変わるかもしれません.また,アンプを接続することによって,アンテナ単体よりも有意に受信範囲,航空機の数を増やすことができました.アンプによっておおよそ1.5から2倍程度にレポート数を増やすことが可能で,シンプルでコンパクト,かつ低消費電力にも関わらず良い仕事をしています.

ADS-Bの受信性能を高めたい方の参考になればと思います.

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